今年も日本列島では災害が多発し、多くの人命や財産が失われました。
特に広島県、岡山県(真備町)、愛媛県、北海道などの災害は甚大でした。
多くは土砂災害、水害でしたが、北海道では地震に伴う山崩れ(36名が犠牲になった)や
電力が不足し(ブラックアウト)日常生活に大きな影響(全道で約一週間程度の全面停電)を与えました。
その都度、何千人(延べ人数)といったボランティアが被災地に入り、
人命救助や地域の復興にあたりました。
本当に自己犠牲の伴う立派な行為でした。
ボランティアという言葉が日本で知られ始めたのが、
阪神淡路大震災の頃からだと言われていますが、
今ではボランティアという言葉を知らない人はほとんどいません。
先日私の帰宅途中、混雑する通勤客に混じって階段を降りていた時に、
一人のご婦人が階段で足を滑らせ転げ落ちる瞬間に遭遇しました。
その日はあいにく午後から雨になり、足元が悪い中のできごとでした。
私の頭の中では、なんとか助けねば・・ととっさに思いましたが、体が全く反応できません。
と、その時 私と被害女性との中間付近を歩いて降りていた中年女性が、一瞬方向を変え、
まさに階段を滑り落ちて来る女性を四つんばいになって受け止めました。
階段を降りていた乗客の中から静かなどよめきが起きたのです。
被害女性の持ち物はトートバッグの中から階段の下まで散乱しこぼれ落ち、
靴や雨傘も階段のあちこちに落ちていました。
何人かの女性たちが散乱した持ち物を拾い集め、
靴も持って来て履かせてあげていました。
何とかその女性の失態を目立たせないようにしている配慮と、
階段の途中で体を張り、受け止めた女性には誰もが心の中で拍手を送ったことでしょう。
私は自分が何も出来なかった不甲斐なさを恥じながら、駅のホームに立ち、
先ほどの光景を思い浮かべていました。
今まで、ボランティアをする人たちは特別な人たちと思っていたことを戒め、
ボランティア活動は私たちの周りにある日常にもたくさんあるのだと改めて思いました。
大学生の中には、単位習得のためであったり、
就職活動にも有利に働くとの理由でボランティアをする者もいるとのこと・・・
しかし、いずれにしてもそれはそれで人生に役立つことでしょう。
今回、意図して学んだ訳ではなかったけれども、不意に起こった出来事の中で気付かされたことでした。
目立たないけど、もう一人のボランティアがいることを・・・
就労移行支援施設すずかぜ
施設長・講師 大城 豊